もう一校は都留(山梨)。00年に噴火災害によって満足に練習もできない三宅島の都立三宅高の野球部と交流を続け、その中で自分たちも成長してきた。小学時代からバッテリーを組み、中学時代は関東の軟式新人戦を制した小林久貴投手と志村将広捕手のコンビが攻守の柱となる。
そして、21世紀枠の2年後に導入された希望枠で選ばれたのは大垣日大(岐阜)。すぐれた守備力が選出の対象となる同枠だけに、秋の公式戦での防御率0.81のエース森田貴之の存在と、13試合でチーム失策7という堅い守りは特筆すべきだ。しかし強みは守りだけにあらず。チーム打率が参加校中2位の3割6分6厘という打線に加え、1試合平均盗塁も4位の2.62という機動力もある。そしてチームを率いる阪口慶三監督は、春夏合計24回の甲子園出場と89年全国制覇を果たした東邦で38年間監督を務めていた名将だ。阪口監督の就任からわずか2年で甲子園への切符を手に入れたのだから、恐るべし師の力、である。これらの要素を重ね合わせれば、“話題校”として片付けるには危険なチームに違いない。
一方、経験はなくとも注目の監督がいる。関東大会ベスト4の日大藤沢(神奈川)の山本秀明監督は、中日ドラゴンズの山本昌投手の弟だ。3回目のセンバツ出場となる同校のOBだが、自身の甲子園経験はない。しかし初舞台を前にしても、あくまで優勝が目標だと選手たちには発破をかけているという。
この3校を含め、初出場は11校。うち春夏通じての初出場は大垣日大と都城泉ヶ丘のほか、強力打線で昨秋の近畿大会ベスト4に食い込んだ市川(兵庫)、過疎化に悩む漁師町における町おこしのシンボル的存在の室戸(高知)、鍛えられたバント技術が光る大牟田(福岡)の5校。
また、初出場ではないが、史上2番目の年数を経てカムバック出場を果たしたのは県和歌山商(和歌山)だ。第77大会の高松(香川)の72年ぶり出場に次ぐ70年ぶり出場となる。野球王国・和歌山の古豪としての気負いはなく、「初出場のつもりで戦う」と選手たち。なお、今大会で2番目の久方ぶり出場は21年ぶりの鹿児島商(鹿児島)である。
そのほか、阪神タイガースの岡田彰布監督の母校として知られる北陽は、来年4月に関西大学に併設されて〈関西大学北陽高校〉と校名が変わるため、北陽の名では今回が最後のセンバツとなる。いや、来年も出場した場合は大会途中で名前が変わるというまさかの可能性もあるとか。そんな珍しい話題を提供しているチームだが、選手らは意に介さず、初戦に向け集中力を高めている。
とにかく今大会も開幕前からトピックス満載。むしろ参加校すべてが話題校である。










