田原総一朗
(ジャーナリスト)
1934年、滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年フリーに。テレビ東京時代の連続番組「ドキュメンタリー青春」で、取材対象者に肉薄する独特のインタビュー手法で注目を浴びる。
現在は政治・経済・メディア・IT等、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。
テレビジャーナリズムの新しい地平を拓いたとして、98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸又一賞)を受賞した。2002年より母校・早稲田大学で「大隈塾」を開講。塾頭として未来のリーダーを育てるべく、学生や社会人の指導にあたっている。
派遣切りは労働者の自己責任なの?
日比谷で緊急に開催された「年越し派遣村」が5日に終了した。しかし、派遣労働者の大量解雇問題はいまだ根本的な解決には至っておらず、失業者はこれからも寒い冬を過ごすことになる。一方、5日には坂本哲志総務政務官(自民、衆院当選2回)が派遣村について「本当にまじめに働こうとしている人たちが集まっているのか」と発言。翌日に撤回・謝罪したものの、この問題に対する行政の対応の遅さの原因は、政府内部の現状認識に甘さがあることが明らかとなった。
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田原総一朗氏(ジャーナリスト)
「経営者の考え方が基本から間違っている」(1/6)解雇されたある派遣労働者から聞いた話によると、解雇通告は勤務先のメーカーからではなく、派遣会社を通じて言い渡されたという。しかも、それらのメーカーは派遣労働者の管理を人事部で行っていないこともある。つまり、彼らは人間としてではなく、モノとして管理されている。
法律に違反していないとしても、派遣労働者を大量に解雇すれば生活できない人が街にあふれるのは明らか。そういう社会問題を引きおこすことに対して企業が何の責任も感じていないのなら、経営者の考え方が基本から間違っている。
経営者の言い分としては、日本は1990年代中ごろから、株主を大事にするために配当を増やし、株価を高くする経営者が「いい経営者」とされるようになったことがある。しかし、その結果として経営者は雇用調整が必要になれば労働者をすぐに解雇するようになった。一方、企業が保有している内部留保は過去最高で、経営陣への報酬はここ数年ずっと増えてきていた。時代が変わったとはいえ、これが当たり前の経営と考える価値観は問題だ。
実は、大晦日に放送した『朝まで生テレビ』でもこの問題を取り上げたのだが、経団連にも番組に出演するようお願いをしていた。ところが、「われわれはテレビに出る義務も責任もない」と出演を断ってきた。これでは「企業には社会的責任はない」と言ってるようなものではないか。
政府も、総額2兆円の定額給付金なんてくだらない政策はやめるべきだ。今は緊急事態である。たとえばこの2兆円を使って、解雇された派遣労働者に次の仕事が見つかるまでの社会保障や現金給付にあてるなど、思い切った政策を実行した方がいい。
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