●イメージの深淵に触れる
昨年度受賞した梅佳代、本城直季の二氏の作品は、カラっとした生への開放的な賛歌(「うめめ」)、あるいは人の営みに対する懐疑を含みながらも肯定的なまなざし(「small planet」)であり、一見して「明るい」写真だったが、本年の受賞作はともにシリアスでストレートな暗さをたたえている。志賀氏の「CANARY」「Lilly」は見るものを不思議な感覚に引き込む力を持つ。人物の顔に光が突き刺さり、あるいは手にした石(?)が茫漠とした発光体となっている。それらを目の当たりにすると、どうやって撮影したのかという疑問を感じる以前に、画面に定着された被写体の迫力に慄かされる。闇に浮かぶ女性たちの顔、巨大な化石の頭蓋骨とヌード女性、むき出しの死を露呈する動物の頭部など、強く死を意識させるメタファー(暗喩)にも満ちあふれている。「写真は現実の穴埋めではなく、イメージを通して現実を先導するものであり、写された現実を超え新たな生、自らのイメージを生み出す」と志賀氏は受賞スピーチで語った。その言葉を聴き、作品を見ると、彼女のイメージはどこまで奥深いのだろうと思わされる。
●異なる死生観
一方岡田氏の「I am」は白バックで若者たちを真正面から撮影した作品。ごく普通の男女がカメラの前で特別なポーズをとるわけでもなく被写体となっている。女性のほうが多いのだが、彼女たちの中にはリストカットを日常的に行なっている者もおり、その生々しい手首の傷も、同様の手法で示される。その白い背景に浮かび上がる傷跡の生々しさが、被写体と撮影者の心の闇をより鮮明に提示しているようだ。「写真を撮り始めて10年。多くを得て、失い、また奪い取ってきた」と語る岡田氏は、被写体と同様に通常とは異なった視点から生と死を見つめているようだ。
同賞の受賞者は写真界で大きく活躍している人たちばかり。若い二人の今後にも大きな期待がかかる。現在新宿のコニカミノルタプラザ(東京都新宿区新宿3-26-11 TEL:03-3225-5001)ギャラリーCにて受賞作品展が開催されている(4月28日まで)。








