開発した小型変位センサは、光の干渉現象を利用する光干渉計を応用し、光学部品にはじめてフォトニック結晶*2を導入することで、従来の光干渉計では両立が困難だった、親指サイズの小型化と、測定感度40ピコメートルという高感度化を実現させたものです。
本センサは大きさが親指サイズと小さいため、今までスペースが限られ、高感度な変位センサの組み込みが困難であった、半導体デバイスなどのナノ構造素子を加工する超精密加工機などに搭載することができ、原子レベルの精度による工具、試料の位置決めや、加工の微細化に大きく貢献します。
また、開発した小型変位センサを、微細加工された素子や材料の凹凸を原子レベルで観察する、既存の原子間力顕微鏡(以下、AFM:Atomic Force Microscope)や、走査トンネル顕微鏡(以下、STM:Scanning Tunneling Microscope)をはじめとする走査プローブ顕微鏡(以下、SPM:Scanning Probe Microscope)に組み込むことにより、従来ナノメートル(1ナノは10億分の1)オーダの精度であったプローブ(探針)の位置制御を、ピコメートルオーダの精度に高めることができます。これにより、原子一個一個の凹凸を高精度に観察する、次世代のナノ構造測定手段の実現にも貢献します。
半導体デバイスやハードディスク装置の磁気ヘッド素子など、ナノメートルスケールの微細構造からなるナノ構造素子は、各種情報機器・端末の基本構成要素としてその性能を左右します。これらナノ構造素子の開発・製造には、ナノレベルでの加工が可能な半導体製造装置や超精密加工機が用いられています。また、微細加工された素子や材料の観察・検査には原子レベルで凸凹を測定するAFMやSTMに代表されるSPMが用いられています。今後、産業技術の進展とともに情報機器・端末の大容量化と高機能化が求められており、これを実現するにはナノ構造素子のさらなる微細化が必要です。このため、超精密加工機や測定装置への組み込みが可能な、小型で高感度な新たな変位センサの実現が求められていました。
こうした要求に応える変位センサとして光干渉計が挙げられますが、光干渉計は寸法が大きい上に、空気の揺らぎや機械振動などの影響を受けやすいため、組込みには十分なスペースが必要で、温度や湿度が厳しく管理された特殊な環境に使用が限定されるという課題がありました。
今回日立では、この光干渉計を応用し、光学部品にはじめてフォトニック結晶を導入することでこれらの課題を解決し、小型化と高感度化を両立させた新しい小型変位センサを開発しました。この小型変位センサは、50mm(縦)×20mm(横)×14mm(高さ)という親指サイズながら、40ピコメートルという高感度な変位測定を実現しています。この小型変位センサを、半導体製造装置や超精密加工機、さらにはSPMに搭載することにより、原子レベルの精度による工具、試料の位置決めや、加工の微細化、さらには次世代のナノ構造測定手段の実現に大きく貢献します。
なお、本技術は、2008年11月4日から6日まで茨城県つくば市のつくば国際会議場で開催される「Optics & Photonics Japan 2008(日本光学会年次学術講演会)」にて発表する予定です。
株式会社 日立製作所
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